アロマな君に恋をして
中学で一人、高校でも一人、女の子と付き合った。
周りの同級生たちに比べたらそのどちらとも長続きした方だと思うけど、終わり方はいつも同じ。
“優しすぎる”
それが女の子たちにとって不満らしいのだ。
そんなこと言われても、怒ったりするのは苦手だし、どうしたらいいかわからないから別れるしかなくて。
専門のときはアユみたいなやかましい女の子ばっかり周囲にいたから、俺はヘタレ扱いで特に恋愛に発展するようなことはなかった。
そして、二年の頃あのショップでなずなさんを見つけて、すぐに好きになった。
心からアロマが好きなんだろうなと一目でわかる明るく丁寧な接客。
それを見てたら、雑貨とは無関係の職に就くことも考えてた自分がちっぽけなものに思えて、俺は進路を決めることができた。
それに、一生懸命働く女性にはどうしても母親の姿を重ねてまう癖があって。
お店に通ううちになずなさんの表情が翳ってきたのを見たら胸が締め付けられて、俺は今度こそ大切な人を支えたいって思ったんだ。