アロマな君に恋をして
真っ赤になって黙ってしまったなずなさん。
保証できない、どころか俺の身体はすでに準備万端になってしまっている。
余裕ないな、俺……
そんな自分に呆れるのと同時に、俺とは対照的に余裕しゃくしゃくなあの男の顔が頭に浮かんだ。
……何でこんな時に。
俺が頭を振っていると、ちゃぷん、と水音がしてなずなさんが足からバスタブに入ってきた。
静かに体を沈めると、俺と向かい合うように体育座りをする。
これはこれでいいけど……
「なずなさん、後ろ向いて?」
「え。……それが嫌だから前を向いてるんだけど」
どうやら俺の魂胆はばればれらしい。……でも、ばれてるなら遠慮しなくていいかな。
俺は動く気のない彼女に代わって立ち上がり、無理やり彼女の後ろに身体を滑り込ませた。
「ちょ、ちょっと……」
「捕まえた」
細いウエストに腕を回して、なずなさんの背中に自分の胸を密着させる。
「なずなさんとこうしてるとこ……徳永さんに見せつけたいな」
「な、なんでオーナーに」
「だってあの人なずなさんのこと好きじゃん」
「…………」
……あれ? なずなさんなら“そんなわけない”って言うと思ったのに……
「もしかして、告白されました……?」
「こ、断ったから、もう関係ないし!」
「え、まじでされたんですか?」
「あ……」