アロマな君に恋をして
……ケチも何も、おかしいだろ。
そりゃ何度か泊まらせたことのある仲だけど、アユの裸なんて見たくもないし……てかアユは俺に見られて平気なのか?
女友達の不可解な言動を疑問に思いながら、温まった体を拭いて風呂から上がった。
リビングに戻るとソファの上でアユがショートパンツから覗く長い脚を投げ出し、うつぶせになって雑誌を読んでいた。
「……俺も座りたいんだけど」
「あ、ゴメン」
アユは体を起こし、俺の座るスペースを空ける。
でも……狭すぎないか?
仕方なくそこに腰を下ろすと、アユが甘えるように俺の身体にもたれかかってきた。
「……アユ、重い」
「いいじゃん。仕事のことで凹んでるって言ったでしょ?」
「……そうだけど。あ、そういえばさっき誰来たの? チャイム聞こえたけど」
「ああ、なんか宅急便が隣と間違えて来ただけだった」
「ふうん……」
そんなこと、今まで一度もなかったのにな……確かにうちのマンションは扉とかに部屋番号は書いてないけど。
「で、その仕事のことっていうのは?」
俺は肩から掛けたタオルで髪を拭きながら尋ねる。
「……すっごい初歩的なミス。発注の個数、一桁間違えた」
「うわ……それは凹む。返品できなかったの?」
「できたけど、仕入れ先にすごい頭下げて、なんとかって感じ。お店側からの信頼もきっと弱くなっちゃったし、もう最悪……」
はあ、とため息を吐き出したアユは、俺の手をぎゅっと握ってきた。