アロマな君に恋をして
友達としては励ましてやりたいところだけど……これはちょっと、俺の役目と違う気がする。
「アユ、こーゆーのは彼氏にやりなよ」
「私に彼氏なんていないって知ってるでしょ?」
「でも俺には彼女いるから」
たしなめるように言って、アユの手をやんわり解いた。
するとアユは俺を上目づかいに睨み、こんなことを聞く。
「彼女って、なずなさん?」
そんなの今さら聞かなくても、アユには付き合い始めのころに報告してあったはずだけど……そう思いながらも俺は頷く。
「別れたんじゃないの?」
「え?」
「私ここへ来る前に彼女に会ったよ。超カッコいい人隣に連れてた」
「カッコいい人……」
……思い当たる人物が一人。
なずなさんは今日休みなはずだけど、そんな時までつきまとってるのかあの人。
「たぶんなずなさんのお店のオーナーだよ。別に一緒に居てもおかしくはない」
すげーむかつくけど。
「……でも、手、繋いでたよ?」
アユが言いにくそうに、ぽつりと言った。