アロマな君に恋をして
店内に入るとまず、嗅ぎ慣れた香りに鼻をくすぐられて私は店内をぐるりと見渡した。
すると角のテーブルに予想通り、香りの霧を噴き出しているディフューザーが。
この香りはラベンダー、かな?
店内をぐるりと見渡したけど、店員さんは見当たらなかった。
ま、うちのお店でもそういうことはよくあるし……
私はとりあえず窓際に近づき、お目当てのスノードームを手に取る。
逆さにして雪を降らせると、さっきよりも断然可愛い。
私、こういう実用性のない雑貨に弱いのよね。
雪を降らせるのが楽しくて、何度もスノードームを引っくり返して遊んでいるときだった。
「それ、可愛いですよね。俺の家にも一個あるんです」
後ろから店員さんらしき男性の声がして、振り返った私は驚愕してスノードームを手から落とすかと思った。
だって、だって……
「あれ?お姉さん、あのアロマショップの……」
そこに居たのは私にアロマオイルをくれた、謎のイケメン君だったから……