アロマな君に恋をして
「――もしもし、なずなさ」
『留守番電話サービスに接続します』
……出ない。もう寝ちゃったのかな。
何度かかけ直してみたけどなずなさんが電話に出ることはなく、さっきアユが言ってたことが俺の頭をかすめる。
まさかまだ徳永さんと一緒、だったり……?
「そんなわけないだろ……」
口に出して否定すれば安心できるかと思ったけど、余計に胸がもやもやするだけで。
気分を変えようと寝室に移動して、色づけ途中のクリスマスプレゼントと向き合ってみても、それは変わらなかった。
ダメだ……どうかしてる、俺。なずなさんを疑うなんて。
今の気持ちで色を付けたら、この仲良く寄り添うクマも可愛そうだ。
手の中のそれをコトン、と机の上に戻し、俺はベッドに入ってしまうことにした。
起きていたら、余計なことばかり考えてしまいそうだった。
アロマを焚こうかとも思ったけど、瓶を手にしただけでなずなさんと徳永さんの姿を連想してしまったのでやめた。
早く寝て、頭を冷やそう……
そう思って布団をかぶるとすぐに目を閉じた俺だけど、その日はなかなか寝付けなかった。