アロマな君に恋をして
「それなら芹香だってなずなさんとの相性いいはずです! セリも植物だもん!
セリはまだなずなさんに会ったことないけど、パパが選んだ人ならきっといい人なんだろうって思う。
パパが心配するからあんまり言わないようにしてるけど、ずっと一人で家に居るのすごく寂しくて……だから、ずっと新しいママが欲しくて……っ」
最後の方は、涙声だった。
「芹香ちゃん……」
俺は静かに椅子を立ち、彼女の隣の席に移動するとその小さな肩を抱いた。
昔ばあちゃんがよくそうしてくれたように、ゆっくりさすりながら。
「ずっと家で一人って……学校は?」
「よく休むの……セリ、あんまり丈夫な方じゃないから」
「そっか……」
それじゃ、徳永さんが家に居ない間は寂しいに決まってる。
俺にできることがあればしてあげたいけど……でも、なずなさんを譲るなんてことはできないし……
俺も似たような境遇だったのに、気の利いたことが何も言えなくて、俺はただただ芹香ちゃんを撫でることしかできなかった。
しばらくそうしていると、芹香ちゃんが不意に呟く。
「……パパの気持ち、わかったかも」
「徳永さんの気持ち……?」
「うん……なんで自信なくなっちゃったのか、わかった気がする」
そう言うと、するりと俺の腕を抜け出した芹香ちゃんは椅子の脇に立った。