アロマな君に恋をして
13.涙のシナモンティー
頭がぼうっとする。喉も痛いし、身体が全体的にだるい……
むくっと起き上がり窓の方を向くと、カーテンの向こうの空が明るくなり始めたところだった。
「何時……?」
布団の中手探りで携帯を探して、でも途中でやめた。……まだ、電源を入れるのが怖い。
代わりにテレビを点けて今が七時前なんだと知ると、キッチンで水を一口飲み、引出しから体温計を取り出してわきの下に挟んだ。
ダイニングの椅子に座ると、テーブルの上に置いたままだった紙袋が目に入った。
雪の中ずっとむき出しで持ち歩いていたからか、紙袋はところどころよれて汚くなっている。
……こんなの、プレゼントできるわけない……
それ以前にそもそも、麦くんにはもう新しい彼女が……
そこまで考えたらじわっと涙が滲んできてしまって、鼻を啜ったところで体温計がピピピッと音を立てた。
「え……三十九、度」
ぼんやりするわけだ……こんな高熱、大人になってから初めて出た。
さすがに仕事休んで病院行った方がいいよね……
体はつらいけど、少しほっとしていた。
今日は誰とも会いたくないし、きちんと仕事をこなせる自信もなかったから……