アロマな君に恋をして
口にしたら余計にその事実が胸に突き刺さり、涙が次々溢れた。
『……何かの間違いじゃないの?』
「……本当、です。新しい彼女もいて……私なんかよりずっと若くて、可愛くて、スタイルもよくて……っ」
どうしてあんな可愛い女友達がいるのに私なんかを選んでくれたのかずっと疑問だったけど、きっと気まぐれだったんだね……
やっぱりこんな冴えないアラサー女じゃ物足りなかったんだ。
麦くんは素敵だもん……どう考えても歩未さんの方がお似合いだ。
『……見損なったわ、あの子』
緒方さんがため息をつきながら言った。
『あの子ならこんな風になずなちゃんを傷つけることもないと思ったから、私も応援してたのに……』
「……もう、いいんです。少しの間……幸せな夢を見せてもらったって、思うことにします……」
本当はそんな都合よく心に折り合いが付けられるわけもなかったけど、これ以上緒方さんに心配をかけたくなくて、私はそんな強がりを言った。
『なずなちゃん……』
「それより緒方さん……私、今熱があって、病院に行かせてもらいたいので今日お店を休んでもいいですか?」