アロマな君に恋をして
「良かった……って何が?」
「あ、お昼ご飯って食べました?俺、これから休憩だからよかったら一緒に……」
「食べません!」
っていうか。人の話を聞きなさい!
彼はしょんぼりした様子で首をうなだれ、その姿はさっき見てたスノードームの中の熊そっくりだった。
……ダメダメ、見た目に惑わされては。
「じゃあ……今晩俺んちに夕飯食べに来ませんか?」
テディベアの潤んだ瞳が、すがるように私を見つめる。
ランチを断られた相手に夕飯って……どんだけメンタル強いのよこの子。
しかも今、“俺んちに”って言わなかった……?
「……私は会って間もない異性の家に上がり込むような女ではありません」
「あ!別に下心とかないんで大丈夫ですよ?ただお姉さんにご飯を作ってあげたくて……」
そんな都合のいい話を信じられるわけがない。私はわざと盛大なため息をついて、彼を睨んだ。
「女性に飢えてるなら他をあたって下さい。私はあなたに興味がないし、昼も夜も一人で自分の好きなものを食べたいの。わかったら、そこをどいて」
ここまで言えば大丈夫よね……と、思った私は甘かったらしい。
彼の横をすり抜けようとした瞬間に、手首を掴まれた。