アロマな君に恋をして
翌日出勤した時、店長はあからさまに元気のない俺に気づいていたはずだけど、特になにも聞いてこなかった。
それが店長の優しさであり、俺の好きなところだ。
そんな店長の迷惑にならないよう極力仕事に熱中し、思考からなずなさんを追い出し……
そして数日が経ったある日、店長が閉店間際の静かな店でぽつりと言った。
「……明日、休みたくなかったら出てきてもいいぞ」
「え? 明日はもともと出勤……」
と、言いかけてから思い出した。
明日はクリスマスで、俺はなずなさんと過ごすためにわざわざ休みをもらっていたんだ。
「……休みたくないなら、って、気づいてたんですか店長。俺が振られたこと」
わざと明るく言った俺に、店長は苦い顔をした。
「お前がそうやって笑うのはつらいときだ。……と、前にお前のばあさんから聞いた」
「ばあちゃん?」
なんで店長とばあちゃんが話したことが……?
一緒に住んでたときだって、俺の仕事にばあちゃんはノータッチだったはずだけど。