アロマな君に恋をして

なんで。それは俺にも実はよくわからないけど……


「たぶん……俺が未熟だった……のかな」


漠然とした答えを呟く俺に、ばあちゃんはやれやれと言う風にため息をついた。


「わけもわからず別れたのかい」

「だって……他の人と付き合うことにしたって言われたら、もうこっちからは何も言えないよ」

「はぁ……あんたって子は」


嘆くように言って、ばあちゃんは皺だらけの手をおでこに当てた。

……おかしいな。ばあちゃんならなんとなく俺の味方をしてくれると思ってたのに。


「人生には遠慮しちゃいけない時ってもんがある。恋愛においては特にね。あんたがその時彼女の言い分を丸飲みしないでちゃんと喧嘩してたら、違う結果だったと私は思うよ」

「……喧嘩?」

「そう。あんたは昔から物わかりが良すぎるんだ。ま、それがいいところでもあるんだけどね。彼女はがっかりしたんじゃないかねぇ」


がっかり……。あの時もっと俺は食い下がればよかったってことか?

俺が何を言ってもなずなさんの中でもう答えは決まっているように見えたけど、本当はそうじゃなかったってことなのか?


「……ばあちゃん」

「ん?」

「女の人ってさ、思ってるのと逆のこと言う時ある?」


唐突な俺の質問に、ばあちゃんは何故かにんまり笑った。


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