アロマな君に恋をして

「やっとわかってきたのか。そうそう、私も昔はそれで男を困らせたもんだよ」


……なんてことだ。

ばあちゃんの冗談はともかく、ときどき素直じゃないなずなさんの性格を考えれば予想できたことなのに。

俺はすぐにベッドから立ち上がり、渡しそびれていた手土産をばあちゃんに差し出す。


「ちょっと行ってくる! これ、よかったら食べて」

「せわしない子だよ。で、これ中身はなんだい?」

「昨夜作った芋ようかん」


じゃあね、と言って踵を返した俺の手を、ばあちゃんが何故かがしっと掴んだ。


「何?」


早くなずなさんの所に行きたいのに、とはやる気持ちを抑えて振り返る。


「クリスマスなのに手ぶらじゃまずいだろう。プレゼントにはちょっとださいけどあんたの作る芋ようかんは美味しいから大丈夫、これ、彼女にやんな」

「ばあちゃん……」


俺はその手から紙袋を受け取ると、小さくうなずいてその場をあとにした。


なずなさんが家に居るという確証はない。

でも、ばあちゃんの言うようになずなさんはあの日思ってもないことを俺に言ったのだとしたら、徳永さんと付き合うことにしたというのも本当なのか怪しい。


ずっと一人で泣いているのかもしれない。


ああ、もう少し早く気づいていれば……


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