アロマな君に恋をして

それからしばらくの間はもう、一日一日をただ消化するだけの毎日だった。


お店には年末までちゃんと出て、接客もしていたけど……そこに自分の心なくて、ただ機械的にやるべきことをやっていただけ、という感じだった。

31日の仕事が終わると、店長が『蕎麦でも食いにいこう』と誘ってくれたけど、俺はそれも断って一人で年越しすることを選んだ。


普段は飲まない缶ビールを二本買って家に帰り、テレビを見ながら飲んでいたら二本目を開ける前にもう随分酔っぱらってしまった。



「なずなさん……」



無意識に呟いてしまうその名も、年が明けたら忘れなくちゃ。


アロマオイルも色んな器具も、見えないところにしまって……



< 197 / 253 >

この作品をシェア

pagetop