アロマな君に恋をして

そうして迎えた元旦、中途半端な時間に目が覚めた俺はブランチ代わりに雑煮を作って食べた。

ゴボウやネギ、ワカメの入ったすまし汁に焼いた切り餅を入れるのがばあちゃん流。

昔から食べなれた味にほっと一息つき、簡単に片づけを済ませるとリビングに移動して朝から何時間も放送しているお笑い番組を見て少し笑った。


何気なく時計を見ると、午後一時過ぎ。

これからの三が日はお店も休みだし、どうやって時間を潰せばいいのかを考えると憂鬱になってくる。


初詣も初売りも、一緒に行く人が居なければつまらない。

そういえばなずなさんは徳永さんと芹香ちゃんと初詣に行っているはずだよな……って。


「なんで思い出すかな……」


座っていたソファの上で、ごろりと体を横たえ呟いた。

考えるな、と思えば思うほど、三人の仲睦まじい様子が勝手に脳裏に浮かぶ。


……今日は史上最悪の元日だ。

そう思って、遅くまで寝ていたのにまたふて寝してしまおうと思った時だった。


――ピンポーン。


来客の予定なんてない我が家のインターホンが鳴り響いた。

誰だ……? 元日からセールスってことはないだろうし、年賀状の配達でわざわざインターホンは鳴らさないだろうし。


無視していたら、もう一度、今度は急かすように短い音が鳴ったので、俺は仕方なく腰を上げて玄関に向かった。


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