アロマな君に恋をして
「あ、あの、私なら大丈夫ですから……だから……」
「……そんな顔で言われてもな」
切なそうに苦笑した健吾さんは、前髪をかき上げると私の上から退いた。
そして疲れたように部屋の中央にある椅子に腰かけると、離れた場所から私を見る。
「少し急ぎすぎたな……ごめん」
――謝らないで。
悪いのは、中途半端な気持ちでここへ来た私なのに。
そう言葉にすることができず、私はただ首をふるふる横に振った。
健吾さんはしばらくおでこに手を当ててなにか考え込んでいるようだったけれど、やがて椅子から立ち上がりこちらに近づいてきて、ベッドに腰かけると言った。
「――向こうに行ったら、二人だけで結婚式を挙げないか?」