アロマな君に恋をして
別々にシャワーを浴びて、同じベッドで微妙な距離を保ったまま私たちは眠った。
と言っても、私は仕事疲れもあってか先に寝てしまったので、健吾さんのことはわからないのだけど。
そして、フロントからのモーニングコールで目を覚ました時にはもう隣に彼の姿はなくて。
“実家にセリを迎えに行くから先に出る。きみも遅刻しないように”
電話の脇のメモ帳にそんな書置きがあり、少し寂しいのと同時にほっとした。
今朝も気まずいままだったりしたら、仕事に支障が出そうだったし……
一旦家に帰ってからお店に出勤しても間に合いそうな時間だったから、私は適当に身支度を整えると部屋をあとにした。
ドアが閉まる寸前、眠ることだけにしか使われなかったために乱れ方の少ない大きなベッドが私を責めているような気がして、私は慌てて目を逸らしたのだった。