アロマな君に恋をして

「……クローバー?」


改めて近くで見てみると、指輪のモチーフはハートが四つ合わさったような形をしていた。

まるで、四葉のクローバーみたいに。


「そう。なずなさんをいっぱい幸せにしてあげられますようにって」

「麦くん……」


もう一度あなたに逢えた今だって充分幸せなのに。これ以上の幸せがあるのかな。

うつむいて鼻を啜ると、視界が急に明るくなった。

麦くんが、私のベールを上げたのだ。


「汚い……でしょ、顔」


今まではベールでごまかせていたかもしれないけど、もう相当涙を流した私の顔は化粧が崩れてぐちゃぐちゃなはず。

だからそう言って目を逸らしたのに……



「綺麗です……世界中の誰より一番」

「そんなわけな――――」



反論は、麦くんの唇によって行き場を失った。

始めは驚いていた私も、ゆっくり目を閉じてキスの甘い感覚に身を委ねる。


誓いのキスなら、唇を合わせたら終わりなはずなのに、しばらく経っても麦くんは全然やめてくれる気配がない。

それどころか、角度を変えながら何度も私を啄む。


神父さんが見てるのに……

それに、きっと神様だって。


なんだか悪いことをしているような気になりながらも、麦くんのキスの酔ってしまってなかなかそこから抜け出せない。


それでも彼がようやくキスを止めたのは、私たちの様子を見かねたのであろう神父さんが、ゴホンとわざとらしい咳払いをしたからだった。



「ソロソロ、時間デス。皆サン外デオ待チデスヨ」



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