アロマな君に恋をして
一歩一歩、お店に近づいて行くにつれて緊張に似たものが込み上げてくる。
していたマフラーは途中で暑くなり外してしまった。
お弁当箱返すだけなのに、何をアガッてるんだろ、私……
相手は年下なんだし、堂々と!
今日は疲れた顔だと思われないように!
お店の数メートル手前で立ち止まり、ぺち、と両手で頬を挟んでから私は視線を上げた。
すると……
「あ、れ……?」
雑貨屋さんの明かりが消えている。
閉店を示す札みたいなものは出ていないけれど、お店が開いていないことは明らかだった。
……よく考えたら、自分のお店だってもう閉まってるんだ。ここだって営業時間を終えていても不思議じゃない。
定休日っていう可能性だって……
そこまで考ると、なんだか急にばからしくなってきてしまった。
何やってるんだろ、私。
ぴゅう、と北風が通り抜けて、私は身体を震わせた。マフラーを巻き直し、くるりと踵を返す。
寒いから、帰ろう……