アロマな君に恋をして
「あのう……」
明るめブラウンの髪はサラサラ。ハムスターみたいに黒目がちの瞳はうるうる。
ずっと見ていると首が疲れる程身長のある彼には、そういえば見覚えがある。
……このお店の、常連さんだ。
ほっと胸を撫で下ろした私は接客用の微笑みを作り直して、彼に尋ねた。
「今日は何をお探しですか?」
すると彼が私の前に、持っていた紙袋をスッと差し出した。
「探し物は、もう買いました。……これ、あなたに」
「は……?」
クラフト紙で作られた、見慣れたこのお店の紙袋。
よく考えればさっき緒方さんが接客していたのは彼だから、探し物をもう買った、というのはわかる。
でも、それを何故私に……
「いつも疲れた顔してる」
「……え?」
「だからこれ。もう一人の店員さんに選んでもらった」
……私は宇宙人と会話しているのだろうか。
彼の言っていることが何一つ理解できない。