アロマな君に恋をして
丸みのある木のダイニングテーブルに置かれたのは、野菜のたっぷり入ったポトフ。
それにアボカドと海老のサラダ、チーズオムレツ、白いご飯。
「いつもこんなにちゃんと作ってるの?」
「うーん。これよりは一品少ないかもですけど、似たような感じです」
すご……。キャラ弁作るくらいだからもともと料理は好きなんだろうけど、それでもすごい。
だって、この家に帰ってきてからまだ1時間も経ってないのに……
「冷めないうちに食べましょう?」
「あ、うん……いただきます」
そう言って両手を合わせたのはいいけど、大事なものが手元にないことに気が付いた私はテーブルを挟んで向かい側に座る彼にこう言った。
「お箸かフォークを借りてもいい?」
「あ、ちょっと待ってくださいね」
待って、と言った割には立ち上がる気配のない麦くん。
何故か私の方のポトフのお皿から柔らかそうなカブを箸で掴み、ふうふう息を吹きかけて冷ましている。
「はい、なずなさん」
そうして私の口元に、そのカブを持ってきた。
えーと……理解不能なんだけど。まさかこれを食べろって意味じゃないわよね。
「早くしないとスープがたれちゃいます」
「早くするって……何をよ」
「口、開けてください。ほら、あーん」