アロマな君に恋をして
なんとなく、そうなんじゃないかと思っていなかったと言えば嘘になる。
でもこんなに早く言われるとは、それにこんな飾らない言葉で伝えられるとは思っていなかった。
嬉しい……気持ちはもちろんある。
だけど、一度大きな失敗をしているから「じゃあ付き合いましょう」なんて単純な答えにはならない。
男性と深く関わるのは、できれば避けたかったこと。それがこんなに素敵な男の子ならなおさらだ。
もう二度と、あんな風に傷つくのは嫌だから……
「……ありがとう。私を心配して、色々気を遣ってくれて。でも、私は恋愛はもういいの」
だから、ごめんなさい……そう言って、私は視線をカップに落とした。
そして、ずっと忘れようと努力していた記憶を久しぶりに思い起こしてみる。
あれは社会人になって三年目……
ようやく慣れてきた仕事を楽しいと感じるようになり、学生の時から付き合っていた年上の彼との結婚話も持ち上がり、毎日がキラキラ眩しいときだった。