アロマな君に恋をして

「……家に閉じ籠れって言うの?」

「そうは言ってないだろ。自由な時間ができるんだから習い事でも何でもやればいい」

「そんなのしたくないよ……私は今のお店でたくさんの人にアロマテラピーの良さを知ってもらいたいの!」


大きな声を出した私を面倒くさそうな表情で一瞥した彼は、ぼそりと言った。


「女はいいよな……そう言ってたって子供ができりゃ平気で辞めるんだ。男は家族のためにしたくもない仕事を一生続けなきゃなんないのにさ」


カチンときたけど、口を開いた時に出たのは反論でなく嗚咽だった。

ああ、この人とはもうダメだ……私は泣きながら、ぼんやりそう思っていた。

案の定、結婚の話は立ち消えになり、しばらくしてから「別れよう」とメールで一方的に告げられた。


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