アロマな君に恋をして
月曜日が近づくにつれ、自分でも認めざるを得ない感情が胸の内で膨れ上がっていた。
私はどうやら、楽しみにしているみたいだ。
それが麦くんに会えることに対してなのか、あの独特の穏やかな時間を過ごせることに対してなのかは分からない。
だけど……
「なずなちゃん、来てるわよ。外、外」
月曜の夜、緒方さんに言われて閉店間際の店の窓の向こうに彼の姿を見つけたとき、私の胸がトクン、と反応して……
やっぱり自分は彼に会いたかったのかもしれないという思いが、驚くほどすんなり心にこぼれ落ちてきた。
早めに着替えて緒方さんより先にお店を出ると、丈の短い紺のPコートのポケットに手を入れ、白い息を吐き出していた麦くんがこちらを振り向いた。
「あ――お疲れさま、なずなさん」
「うん……」
さっきは、彼に会いたかったのかも……なんて思っていたのに、いざ顔を合わせると素っ気ない態度を取ってしまう。
もっと気の利いた言葉が出てくればいいのに……今はただ返事をするだけで精一杯だ。