アロマな君に恋をして
私が大きくため息をつくと、麦くんは言い訳のように話し出した。
「……専門のときは女の子が周りに多かったから、アユや他の子と何度も一緒に徹夜とかしてるし、今でも仲のいい子はこの家に泊めることもあります。でも、だからって彼女たちと関係を持ったとかそういうのはないんです……
だって俺、あの頃からなずなさん一筋だったし。それをアユも他の子も知ってます」
「……だからって、今度歩未さんや他の女の子がここに来たら今までみたいに泊めてあげるの?」
「え……?」
ああ……言っちゃた。しかもものすごい刺々しい声で。
彼女でもないのにそんなこと言うなんて、なんて煩わしい女なんだろう。
外を歩いて冷えた手で額に触れ、頭に上った血を何とかしようとする私。
今日はもう帰ろうかな……歩未さんに会ってから、どんどん自分が嫌な女になってく。それを麦くんに見られたくない。
「ごめんなさい、今のは気にしない、で――――」
言っている途中で、突然視界が暗くなった。
何が起こったかわからずに呆然としていると、至近距離で麦くんの声が聞こえた。
「友達ポジション……やっぱ無理かも、です」