アロマな君に恋をして
――それにしても。
「これ、どうしよ……」
カサリと袋を開けば、見慣れたディープブルーの小瓶が数本。
知らない人から貰ったものを使うのはなんとなく抵抗があるし、第一家ではもうアロマを焚く習慣がないのに……
「……ありがたく使えばいいじゃない」
「わぁ!緒方さん!」
背後から音もなく現れた彼女が、袋の中身を覗き込む。
そういえば、これは緒方さんが選んだオイルなんだっけ……
「あの子、すごく一生懸命だったわよ。てっきり彼女にプレゼントするんだと思ってたけど、まさか渡す相手がなずなちゃんだとはねぇ……
これはもしかして、恋の予感じゃないの?」
「……まさか。あの子若そうだったし、何かの気まぐれでしょう」
「気まぐれ、ねぇ……」
私に彼氏がいないことをずっと前から嘆いている緒方さんは、どうやらこれを恋に発展させたがってるみたいだ。
彼女のお節介は今に始まったことじゃなく、既婚者である彼女はことあるごとにパートナーがいることの素晴らしさを説いてくる。
けれど、私にはイマイチ響かない。
他人のために心を費やすくらいなら、少しでも多く働いたり眠ったりしたい。
そう思うのって、おかしいことなのかな――……