アロマな君に恋をして
7.恋はトップノート
今まで、私の中の美味しいおでんランキング一位はコンビニのものだった。
次いで母親の作ったもの、そして自分であっためたスーパーのおでん。
だけど麦くんの作ったおでんはそのランキングも無意味にしてしまうほど、美味しくてからだがあたたまって……私を癒してくれた。
「――いつか、あのお店にハーブティーを出すカフェも作りたいねって、緒方さんと話しているの」
食後に彼が淹れてくれたカモミールティーを飲みながら、私はそんなことを語った。
お店の売り上げはいばれるほど多くはないし、そんなことする人も時間もないから、実現は不可能に近いけど、私と緒方さんは夢見てる。
小さなカフェでいいから、オープンさせたいって。
恥ずかしいからあまりこのことを人に話したことはなかったけど、麦くんなら否定したり笑ったりしないだろうなって……なんとなく思ったから。
「いいですね。俺、できたら通います」
「ありがと。無理なのはわかってるんだけどね……」
「ダメもとでもオーナーさんに頼んでみたらどうですか?
うちの雑貨屋も、店長がオーナーに頼み込んで暖炉作ってもらったんです。火は入れませんけど可愛いからって」
あの雑貨屋さんに暖炉。確かに可愛いかも。
それをあの怖い顔の店長さんが提案したっていうのが信じがたいけれど。
オーナーに頼む……か。