アロマな君に恋をして

「で、でも……泊まる用意してきてないし」

「それなら大丈夫です。前にも言いましたけど、女友達がいつ泊まりに来ても大丈夫なように、着るものも歯ブラシもありますから」


……女友達。そのワードに私の耳がぴくりと反応する。


「……全部新品?」

「ええと……下着と歯ブラシはもちろん新しいやつです。部屋着は何度か貸したことのあるやつですけど」


別に私は潔癖性って訳じゃないし、麦くんのことだから柔軟剤入りできちんと洗濯してあるだろうと予想できるのに、そんなの着たくない、と思ってしまうのは何でだろう。

胸に広がるのは、歩未さんを見たときと同じ種類のいやーな気持ち。

これはやっぱり“アレ”なんだろうか。

……まだ認める勇気が出ない。


「……もしかして嫌ですか?どうしよう、今からなずなさんの服を洗っても、うちには乾燥機がないからすぐ乾かないし……」


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