アロマな君に恋をして

なんで……

なんでベッドの中から声がするの……?

恐る恐る後ろを振り返ると、私がさっき寝ていたすぐ隣で、眠たそうに目を擦る麦くんがいた。

まさか、ずっとそこに……?


「……まだ3時ですよ?寝ましょうよ、寒いし」


枕の下からスマホを取り出し、画面の明るさに目をしばたかせながら時間を確認した麦くんが言った。


「寝るって……そこで一緒に?」

「さっきまでそうしてたじゃないですか」

「それは意識がなかったからで……!!」

「なずなさん、あまり大きな声出すと近所迷惑です。とにかくこっちに来て冷静に話しましょう?」


ぽんぽん、と麦くんがベッドの空いたスペースを叩く。

そんな場所で冷静に話せるわけがないじゃない……!

と、夜中の3時に大声で反論するわけにもいかなくて……



「……も、もうちょっと離れてくれない?」

「これシングルベッドだから、これ以上下がったら俺が落ちます」



――今、私たちの距離はわずか20センチ。

ちょっとでも動いたら膝がぶつかりそうな気がして、布団の中でカチンコチンに固まる私。


なんでこんなことに……


こんなに近くで目を合わせたまま動けないなんて、心臓が止まっちゃいそう……


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