アロマな君に恋をして

「なずなさんの気持ちは……？」


いつも優しくて、穏やかで、私を癒してくれる麦くんが、苦しそうな顔をしてる。

それは私のせい……？

ずっと絡んだままの視線からも、もどかしい思いが伝わってくる。


「そんな顔しないでよ……」

「だってなずなさんが素直にならないから」

「……友達ポジションはどうしたの？」

「もう状況が変わりました」

「そんなのズルいよ……」

「ズルいのはなずなさんです。可愛いことばっかり言って俺のこと喜ばせといて、肝心なところで答えぼかして」

「……怒ってるの？」


いつにない彼の苛立った様子に私は急に不安になり、頼りない声でそう訊いた。

怒らせたかったわけじゃないのに。麦くんにはいつも笑っていてほしいのに。


「……ちょっとだけ」


ちょっと、ではなさそうな仏頂面で彼が言うものだから、私は慌てて謝ろうとした。