アロマな君に恋をして
「……麦くん、あのね」
私、この言葉を使うの何年ぶりだろう?
シンプルだけど、大切な……世界でたった一人の人に贈りたい、この言葉……
「――――好き……みたい」
つい余計な三文字を付けてしまったことは許して欲しいと思う。
それでも一生分の勇気を使い果たしたくらいの気分だから……
「ありがとう……なずなさん」
麦くんが私の身体を引き寄せる。閉じ込められた胸の中で、愛しい体温と高鳴る鼓動を感じた。
乾いたはずの涙が滲むのは、きっと幸せだからなんだと思う。
好きな人に想われる幸せなんて……ずっとずっと、忘れていた。
「なずなさん」
わたしを抱き締めたまま、麦くんが訊く。
「もう……許可を取る必要はないですよね?」
「許可……?なんの……」
「キスの」
「えっ!あ、う、ん……それは」