アロマな君に恋をして
おにぎりとお味噌汁と、ほうれん草の入った卵焼き、昨日のおでんの残り。
朝からこんなにしっかり食べるのって実家に住んでた頃以来だけど、麦くんの作ったものだと箸が自然と進む。
「また太っちゃう……」
そう呟きつつ、結局は完食してしまった私。
こんな調子では麦くんのお料理を頻繁にご馳走になるのはまずい。美味しいけれどまずい。
だって、もともと自信のあるスタイルを持っているわけじゃないのに、このままぶくぶく太ってしまったら、いざそういう事になった時に幻滅されちゃう。
そういう事……
「――ま、まだ早いわよ!」
バン、とテーブルを叩くと、お椀に橋渡ししていた箸がコロコロ回転してテーブルに落っこちた。
朝から一人で何やってるんだろ、私……
勝手に妄想して勝手に照れて……そんな自分に呆れつつ食器を片付ける。
キッチンは毎日料理をしているはずなのによく掃除されてて、麦くんの几帳面さに感心してしまった。