アロマな君に恋をして
「イギ、リス……?」
頭に浮かんだのはたくさんの疑問符と、とりあえず……ユニオンジャック。
つまり、全く意味が解らない。
にこにこ微笑んでるだけのオーナーに痺れを切らしたのか、緒方さんが近づいてきて私に声を掛ける。
「なずなちゃん、嫌なら嫌って言っちゃっていいからね。麦くんのこともあるし、お店のことは別に気にしなくていいから」
「お店のこと……?」
余計に頭がこんがらがって、説明を求めるためにオーナーを見た。
「――この店でハーブティーを出したいってのは、なかなかいい考えだと思う。精油に使われる植物の多くはハーブティーとしても楽しめるし、併用すれば効果が高まるものも多い。
だけど本場ヨーロッパではその二つは別物で、それぞれ専門の知識が必要になる。
ここにカフェを作るっていうのを実現するために、二人のうちどちらかを、アロマのこともハーブティーのことも深く学べるイギリスに連れて行きたいなと思ったんだけど、緒方さんには家庭がある。
だから、独身のきみを誘ってるってわけだ」
ハーブティー……そうだ。オーナーが来たら私も話そうと思っていたのにすっかり忘れていた。
緒方さんが話したのかな。
でも、そんな遠い場所にいきなり誘われても……