さくら降る季節
「えっと……確か幸恵さんが場所をとってるって言ってたんだけど……」
悠夜はキョロキョロと辺りを見渡し、幸恵の姿を捜す。
ねぇ、場所って……なんの場所?まさか、悠夜も周りにいる大人たちのようにバカ騒ぎするつもり?
しかも場所をとってるって……こんなに人がたくさんいるのは、先にその場所をとったから?
だったら僕がその人を殺して、悠夜たちの座る場所を作ればいいんじゃないの?
「あ、いたいた。じゃあ幸恵さんのところに行こっか」
僕の心情を知ってか知らずか、悠夜はふわりと笑ってみせた。
……やっぱ、今回は人を殺すのはやめよう。悠夜の笑顔を、絶望で汚したくはないし。