さくら降る季節
黙って悠夜の後ろを歩いていたら、そばにいる健吾は幸恵のそばにいる亜希を見つけて走り出した。それはもう、恐ろしいほどの速さで。
悠夜もそれを見て苦笑いを浮かべている。せっかくいい笑顔を悠夜はしていたのに、健吾のせいで苦笑い。
よし、健吾は後で絞めよ。
幸恵は急に走ってきた健吾に驚いていたけど、すぐに僕らを見つけて手招きした。
幸恵は周りの人と同じように桜の木の下に布を敷いて座っていて、豪華に彩られた食べ物がその真ん中を独占している。
そして、幸恵の隣にはカルピスの入ったペットボトルが置かれていた。……しょうがない、楽しむか♪
「いい場所ですね、ここ」
「でしょ~?たくさんあるから、どんどん食べてねぇ?」
悠夜は「では」と靴を脱いで布の上に腰をおろした。僕は無言のまま悠夜の隣に座る。