さくら降る季節
「久遠もどんどん食べていいんだからね?」


 悠夜は皿と割り箸を手に、僕の好きそうなものを適当にいれて、僕に差し出す。


「……悠夜、」

「うん?」

「楽しい?」

「えっ」


 僕の問い掛けに言葉を詰まらせた悠夜だったけど、それを見計らってか酒臭い男にいきなり肩を叩かれた。


「しょーねんっ、楽しんでるかァ?」


 竜司だった。

 頬の辺りがうっすらと桜色になってる……ってことは、もしかしなくても酔ってる?


「俺はお前と飯食うのだけはごめんだかんな!どっか行ってろ酔っ払い!」

「ぁア?健吾、いつからオメーは俺様に命令出来る立場になったンだ?言ってみろや能無しィ」

「能無しィ?だったらお前は単細胞だな。ハッ」

「んだとォ?」


 次の瞬間、目の前にある料理の数々が宙を舞った。言わなくても分かるだろう、竜司がひっくり返したんだ。
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