さくら降る季節

「須皇さん?!」


 みんながみんな、昶を見て目をぱちくりさせている。


「健吾くん、竜司さん、ケンカをするなら違う場所でやってくれないかな?」

「すみません、須皇さん」

「……ッチ」


 昶の言葉で素直に大人しくなった2人。なんか気持ち悪いなぁ、2人がこんなに素直になるの。

 しかも竜司……ケンカよりこれのどこが楽しいのか分からない食事を優先するなんて!酔ってるから?

 っていうか、今更だけど竜司ってお酒飲むんだね……。


「それじゃ僕はこの辺で」


 料理を元の場所に置いた昶はひらりと手を振る。それを見た悠夜は、素早く呼び止めた。


「須皇さん、一緒に食べませんか?」


 昶は立ち止まり。


「ごめんね悠夜くん。子猫ちゃんを待たせているから」

「そう、ですか」

 スタスタと歩いていく昶を横目に、僕の隣に座っている竜司は「ムカつく野郎だぜ」と小さく毒を吐いた。
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