四季。彼女を亡くした冬
冬
「待ってよ!平良!」
背中に声が掛かる。
聞きなれた…なれすぎて幻聴すら聞こえるソプラノの声。
真上に登った太陽が何色かなんて興味ないけど、彼女が何歩うしろにいるのか気になって仕方なかった。
「たーいーらっ!ねぇっ」
「いっ…てぇな。おせぇんだよ、短足」
どつかれ大して痛くもないのにそう言った。
腰に回された腕が細いのに力強くて情けないほど安心した。
同時に酷く落胆した。
「短足って!産まれて初めて言われたしっ」
するりと腕がほどけてとなりに並ぶ彼女を一瞥し、何事もなかったかのように前を向いた。
「なんで待ってくれないの?怒ってるの?ねぇ、話聞いてる?」
「う、る、せぇーんだよ歩く騒音が。黙って歩けよ」
放っておいたら一生喋っていそうな口を一喝する。
意味ないことくらいわかっていたけど。
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