Taste of Love【完】
◆辞令にまつわるエトセトラ
「結城――異動だぞ~新規部署への異動だ。頑張れよ」
結城 風香(ゆうき ふうか)は、月曜日の朝出社するやいなや、商品開発企画部部長にそう告げられた。
「い、異動ですか?だって内示は?」
風香はまだ仕事モードに切り替わらない頭で部長の言葉を繰り返す。
「そうだ。急に決まって内示出来なくて悪い。早くパソコン立ちあげて確認しろ」
そう言われて、先ほど電源を入れていたパソコンにパスワードを入力し、グループウェアを立ち上げる。
社内連絡票のアイコンをクリックすると一番上にでてきた。
【辞令
以下の者を商品開発企画部スイーツ企画室への異動を命じる
―――――
結城 風香(旧 商品開発企画部)】
自分の名前を確認して思わず息をのんだ。
(ど、どうして私が……)
ここは、小売業大手のサニーグループのコンビニ部門『サニーエイト』の商品開発企画部。
本社ビルは八階建で一階にはコンビニ、『サニーエイト』がある。
そこの五階の一角にこの商品開発企画部はあった。
ロッカーの上には誰も片付けていないのか、半年前の販促で使うグッズが放置されたままだ。
始業時間まではまだ四十分ほどあるが、ほとんどのデスクでは仕事が始まっていた。朝から活気づいているこの職場が風香は好きだ。
パソコンを見つめている風香に横から声がかけれらた。
「結城先輩、また一緒ですね」
「雅実ちゃ~ん」
情けない声で振り返った先にいるのは、門田雅実(かどたまさみ)。
商品開発企画部の一般職の職員で事務全般を任されている。社内のマスコット的存在の雅実は男性だけでなく女性社員にもかわいがられていた。
入社三年目の彼女だが、仕事の正確性とスピードは折り紙つきで今回の新規の企画室の一員でもある。
結城 風香(ゆうき ふうか)は、月曜日の朝出社するやいなや、商品開発企画部部長にそう告げられた。
「い、異動ですか?だって内示は?」
風香はまだ仕事モードに切り替わらない頭で部長の言葉を繰り返す。
「そうだ。急に決まって内示出来なくて悪い。早くパソコン立ちあげて確認しろ」
そう言われて、先ほど電源を入れていたパソコンにパスワードを入力し、グループウェアを立ち上げる。
社内連絡票のアイコンをクリックすると一番上にでてきた。
【辞令
以下の者を商品開発企画部スイーツ企画室への異動を命じる
―――――
結城 風香(旧 商品開発企画部)】
自分の名前を確認して思わず息をのんだ。
(ど、どうして私が……)
ここは、小売業大手のサニーグループのコンビニ部門『サニーエイト』の商品開発企画部。
本社ビルは八階建で一階にはコンビニ、『サニーエイト』がある。
そこの五階の一角にこの商品開発企画部はあった。
ロッカーの上には誰も片付けていないのか、半年前の販促で使うグッズが放置されたままだ。
始業時間まではまだ四十分ほどあるが、ほとんどのデスクでは仕事が始まっていた。朝から活気づいているこの職場が風香は好きだ。
パソコンを見つめている風香に横から声がかけれらた。
「結城先輩、また一緒ですね」
「雅実ちゃ~ん」
情けない声で振り返った先にいるのは、門田雅実(かどたまさみ)。
商品開発企画部の一般職の職員で事務全般を任されている。社内のマスコット的存在の雅実は男性だけでなく女性社員にもかわいがられていた。
入社三年目の彼女だが、仕事の正確性とスピードは折り紙つきで今回の新規の企画室の一員でもある。
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