Taste of Love【完】
雑誌をめくりながら色々とアイデアを練り上げて行く。

なんとか明後日提出する資料の概要が組みたてられた。

あとは風呂を出て、食事をしながら考えることにした風香は、小さな湯船にぶくぶくと沈んでいってから勢いよく水から顔を出した。

手早く入浴を終わらせて、次はキッチンに立った。一人暮らしにはぜいたくなシステムキッチンだが使い勝手は抜群だ。今日は手早く残っていた材料で親子丼を作る。

市販のめんつゆに少しアレンジを加えた割りしたに、割りしたで味をつけた鶏肉と玉ねぎを入れて頃合を見て卵をまわしかけて出来上がり。ご飯が冷凍してあったご飯なので少し忍びない気もするけれど、急ぎのご飯としては十分だ。

これにこぶ茶で漬けた浅漬けと明日への鋭気を養うためのビールで風香の今日の晩餐がスタートする。

(ん~おいしい。お疲れ私!)

ご飯を食べながらも先ほど脳内でまとめた企画書をアウトプットしていく。

食べ終えると一旦片付けをして、冷蔵庫からもう一本ビールを取りだしてローテーブルに戻る。

パソコンで入力をしているとふとあるレシピが気になり、本棚を漁る。

(あった、これこれ)

本棚から古い本を漁って開く。お目当てのレシピを見てから資料に書き加えて本棚へと戻そうとしたがなんとなく別のページをめくる。

そこには、中学生時代から食べなくなった高校二年生までに風香が作ったお菓子達が色々と並んでいた。

ふとあるページで指がとまる。

そこにはチョコレートブラウニーのレシピがある。幼さの残る字で“美味くできますように”と書いてあった。それは高校二年生の風香が書いたものだ。
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