Taste of Love【完】

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風香は高校一年生の夏休み明けに転入生徒として黒板の前にたっていた。担任から「自己紹介を」と言われて、いつも通りの挨拶をする。

好奇心にまみれた視線の前に立つのは何度経験しても慣れないものだ。

どうして転校生と言うだけで、美少女だと勝手に想像されて勝手に残念がられるのだろうか？長年転校を繰り返してきた風香は、この場所に立たされるといつも同じように考えていた。

「結城　風香です。父の転勤の都合でこちらに引っ越してきました。よろしくお願いします」

風香は多くを語らず先生に座るように言われた窓側の一番後ろの席に座る。

そこからはグラウンドではなく中庭がよく見えていた。

テニスコートと花壇と噴水。

（あのベンチでお弁当食べたら気持ちいいだろうな）

そんな風に思いながら風香の新しい高校生活が始まった。

幸い友人にも恵まれ楽しい学校生活を送ることができていた。クラスの全員の顔と名前が一致するのにもそう時間はかからなかった。