Taste of Love【完】
それから三日後、室長以上が参加する会議に大悟が招集されることになった。

あの日から風香は大悟とは連絡をとっていなかった。もちろん大悟からの連絡もない。
 
もともと仕事以外で連絡を取り合うよう仲ではないのだから、普通といえば普通のことだ。だがあんなことがあった後、この何とも言えない後味の悪さに悩まされていた。

 「そろそろですね。会議」

 雅実が風香に話しかけて来て時計を確認する。

 「そうだね。とにかく仕事しなきゃ」

 無心に目の前のパソコンに向かって仕事をはじめたが、心は自分が参加できない会議室へと向かっていた。

 そして気が付けば、会議室の前の廊下を何度も行ったり来たりしていた。


(会議一体どうなったんだろう……浅見さんどうなるんだろう?)

 立ち止まって思いつめていると、会議室の扉が開く音がした。

 背の高い男が室内に向かって頭を下げると外に出てきた。
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