Taste of Love【完】
「どうして私のために……」

「それをふられた私に聞く? つくづくアンタ嫌なやつ」

言葉は辛辣だが表情を見ると悪意はないようだ。

「深い意味もなく特別なものをあなたに贈ることはないと思うわ。でもその真意は大悟にしかわからない」

「そうですよね……」

「その意味が知りたいなら大悟に聞いてみることね」

「そうですね」

ミカは立ち上がり、腰に手を当てた。

「さぁ、今日は営業時間終了。片づけするからあなたも帰って」

「あ、ハイ。紅茶ごちそうさまでした」

店を出て冷たい風に吹かれながら、駅への道を歩く。

風香は大悟のオランジェットにこめられた意味を考えていた。

 考えれば考えるほど、風香の胸の鼓動が大きくなる。

 そして自分の部屋に着くころに、自覚した。

 (私、浅見さんのこと好きなんだ)

 最初はパティシエとしての腕と才能に惹かれた。

でも蓋をあけてみれば、人の悩みにずけずけ首をつっこんできたり、いきなりキスしたり強引で失礼な態度に腹もたてた。
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