Taste of Love【完】
そんななか、金曜日日直で少し遅い時間まで居残っていた風香が日誌を届けると担任の先生が明日の授業で使う教材を教室に運んでほしいと依頼してきた。二つ返事で引き受けたものの、それはさほど重くはないが視界を遮るほどの量の箱だった。
(一体なにに使うの?)
廊下を歩き始めて最初の角を曲がる頃には引きうけたことを後悔していた。
(あとは階段を降りるだけ)
教室までの最後の難関に風香が挑もうとしたところ、最初の一歩で階段を踏み外した。
「わ、きゃ!」
風香の声が階段でこだまする。目の前で箱が宙を舞い落下していくのを見ながら風香も階段の中ごろにある踊り場まで滑り落ちていた。
手すりにつかまり何とかそれより先に落ちることを防いだ。そのとき階段の上から気づかわしげな声が聞こえて来た。
「おい!お前大丈夫かよ!?」
そう言って階段を勢いよく駆け下りてくる。逆光で顔は良く見えないが声からすると男子だ。
(そんなに急ぐと、あなたも落ちちゃうわよ)
そんな風なことを考えながら、近付いてくる人影を眺めていた。
「おい!大丈夫なのか?返事しろよ」
気がつくとその影は風香の顔をしゃがみこみ見つめていた。
「三栖君!」
驚いた風香は思わず後ろへずれようとして足を床についた。
「……っ痛い」
痛みで思わず顔をしかめる。
「足?ひねったの?」
「多分……」
そう風香が呟くと、翔太は風香にむけて背中をみせて屈みこんだ。
「乗って」
「乗るって背中に?む、無理だよ」
いきなりクラスメイトにおんぶされるだなんて風香にとっては今まで経験したことない未知の世界だ。
(一体なにに使うの?)
廊下を歩き始めて最初の角を曲がる頃には引きうけたことを後悔していた。
(あとは階段を降りるだけ)
教室までの最後の難関に風香が挑もうとしたところ、最初の一歩で階段を踏み外した。
「わ、きゃ!」
風香の声が階段でこだまする。目の前で箱が宙を舞い落下していくのを見ながら風香も階段の中ごろにある踊り場まで滑り落ちていた。
手すりにつかまり何とかそれより先に落ちることを防いだ。そのとき階段の上から気づかわしげな声が聞こえて来た。
「おい!お前大丈夫かよ!?」
そう言って階段を勢いよく駆け下りてくる。逆光で顔は良く見えないが声からすると男子だ。
(そんなに急ぐと、あなたも落ちちゃうわよ)
そんな風なことを考えながら、近付いてくる人影を眺めていた。
「おい!大丈夫なのか?返事しろよ」
気がつくとその影は風香の顔をしゃがみこみ見つめていた。
「三栖君!」
驚いた風香は思わず後ろへずれようとして足を床についた。
「……っ痛い」
痛みで思わず顔をしかめる。
「足?ひねったの?」
「多分……」
そう風香が呟くと、翔太は風香にむけて背中をみせて屈みこんだ。
「乗って」
「乗るって背中に?む、無理だよ」
いきなりクラスメイトにおんぶされるだなんて風香にとっては今まで経験したことない未知の世界だ。