Taste of Love【完】
「あの雑誌で評論してる奴前からあんまりいい噂聞かなかったんだ。だから知り合いのライターたよりに色々調べた」

「どんな噂なんですか?」

「金を積めばどんな論評でも書くって噂。前々から業界ではまことしやかにささやかれてたんだ」

 大悟はマグカップを両手で持ち中身を見つめながら話を続けた。

「だから、今回の話も裏で誰かが何か手引きしてる可能性あると踏んで、色々調べてた。そうしたら、ひとりのパティシエとその評論家との癒着があったことがわかったんだ」

「どうやってそんなこと調べたんですか?」

「まぁ、同じようにそれを良く思っていなかったライターが動いてくれたんだ。評論家の元で働いていた奴が全部話をしたらしい。そしてそれが明日発売の雑誌に掲載されるってわけ」

「はぁ……よかった」

 風香は安心して肩の力が抜け、背もたれへともたれた。

「ずっと心配してたんです。本当によかった」

 思わず涙がにじみそうになる風香を見て大悟は呆れたようなそれでいて、どこかうれしそうな顔をした。
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