Taste of Love【完】

「どうして、浅見さんがこんなこと……」

「まぁ、乗りかかった船だからな。最後まで見届けてやろうと思って。これでうまくいけば、お前のスイーツ嫌いも完全に治るかもしれねーだろ」

その言葉は、風香が持っていた小さな望みをも砕いてしまう。

「俺も悪かったな」

何に対しての謝罪なのか……聞きたかったけれど言葉が出てこない。

「お前のトラウマを勝手に姉貴と重ねたりして。お前と姉貴は違うのにな。あのとき姉貴にできなかったことが今でも心残りで、それをお前のトラウマを克服させることでどうにかしようとしてたみたいだ」

　風香の顔を見ずに、どこか一点を見つめたまま大悟が言う。

　風香はうつむいたままだ。そうしていないと今にも感情のままに色々と口走ってしまいそうだった。