Taste of Love【完】
「そのレシピが俺にしてやれる最後のことだ。まぁ使うも使わないもお前次第だけどな。ほら今日は送ってやれないからそろそろ帰れ。結構遅いじかんだぞ」
時計をみるとまだ八時半だ。帰りを急かすほどの遅い時間じゃない。
大悟の言葉から、風香はここから早く出るように言われているのだと悟り立ち上がる。
「押しかけて来てすみませんでした」
「あぁ、頑張れよ」
口角をグイッと上げて風香に笑顔を見せてくれた。
今の自分の気持ちを知られるわけにはいかない。そう思った風香も出来るだけの笑顔を浮かべた。
(ここから出たら、いくら泣いたって大丈夫。だから今だけは頑張らないと)
自分にそう言い聞かせて、笑顔のままで大悟の店を後にした。
駅まで歩く。冬の夜の刺すような寒さが風香を余計にみじめに思わせた。
(自分で自覚したとたん、失恋するなんて。いつもこのパターン……。もと早く気が付いていたら違ったのかな?)
足が止まる。ここは十二月のクリスマスシーズンのときに大悟が追いかけて来てくれた場所だ。
ふと後ろを振り返る。そこに誰もいるはずないのに。
外灯だけが寂しく光るのをみて、風香の瞳から涙がひとつこぼれた。
時計をみるとまだ八時半だ。帰りを急かすほどの遅い時間じゃない。
大悟の言葉から、風香はここから早く出るように言われているのだと悟り立ち上がる。
「押しかけて来てすみませんでした」
「あぁ、頑張れよ」
口角をグイッと上げて風香に笑顔を見せてくれた。
今の自分の気持ちを知られるわけにはいかない。そう思った風香も出来るだけの笑顔を浮かべた。
(ここから出たら、いくら泣いたって大丈夫。だから今だけは頑張らないと)
自分にそう言い聞かせて、笑顔のままで大悟の店を後にした。
駅まで歩く。冬の夜の刺すような寒さが風香を余計にみじめに思わせた。
(自分で自覚したとたん、失恋するなんて。いつもこのパターン……。もと早く気が付いていたら違ったのかな?)
足が止まる。ここは十二月のクリスマスシーズンのときに大悟が追いかけて来てくれた場所だ。
ふと後ろを振り返る。そこに誰もいるはずないのに。
外灯だけが寂しく光るのをみて、風香の瞳から涙がひとつこぼれた。