Taste of Love【完】
***
バレンタイン前日。風香は大悟のくれたレシピを眺めていた。
――失恋の痛みを忘れるならば、新しい恋
よく聞くフレーズだが、簡単にそれが実行できるとは思えない。
「このまま、翔太と一緒にニューヨークに行こうか……」
環境も変わる。翔太と一緒にいる時間が増えればもしかしたら、彼を愛する日がまた来るかもしれない。
そんな卑怯なことを考えたり、そんな失礼なこと出来るわけがないと否定したり。
風香の心は大きく揺れていた。
チョコレートのレシピを綴っているいるその字は、男らしいけれど少し右肩上がりの癖のある字でその文字を見るだけでも胸が苦しくなる。
(こんな状態で前に進むなんてことできるのかな)
翔太に失恋したあのころと、風香はちっともかわっていないと自分を責めた。
レシピの最初には風香を励ますような大悟の言葉が連なっていた。
オランジェットの作り方は秘密。
前に作っておいしかたやつを教えてやるから
ガンバッテ作れよ。
好きにやってかまわないけどな。
気を付けるところは下に書いておく。
だいじょうぶだ。頑張れ。浅見
バレンタイン前日。風香は大悟のくれたレシピを眺めていた。
――失恋の痛みを忘れるならば、新しい恋
よく聞くフレーズだが、簡単にそれが実行できるとは思えない。
「このまま、翔太と一緒にニューヨークに行こうか……」
環境も変わる。翔太と一緒にいる時間が増えればもしかしたら、彼を愛する日がまた来るかもしれない。
そんな卑怯なことを考えたり、そんな失礼なこと出来るわけがないと否定したり。
風香の心は大きく揺れていた。
チョコレートのレシピを綴っているいるその字は、男らしいけれど少し右肩上がりの癖のある字でその文字を見るだけでも胸が苦しくなる。
(こんな状態で前に進むなんてことできるのかな)
翔太に失恋したあのころと、風香はちっともかわっていないと自分を責めた。
レシピの最初には風香を励ますような大悟の言葉が連なっていた。
オランジェットの作り方は秘密。
前に作っておいしかたやつを教えてやるから
ガンバッテ作れよ。
好きにやってかまわないけどな。
気を付けるところは下に書いておく。
だいじょうぶだ。頑張れ。浅見