Taste of Love【完】
「あの……」

不思議に思う風香をよそに、大悟はチョコを取り出し一口食べた。

「なかなかうまく作ってんじゃん」

「レシピ通りに作ったから」

二個目のチョコを口に運ぶ。

「でも、俺にわたすバレンタインのチョコが、俺の味ってどうなの?」

「あ、私そこまで考えてなかった」

言われてみればそうだ。風香はチョコを作渡すことだけを考えてそこまで考えが及ばなかった。

「まあいい。こうやればお前の味になる」

口角をきゅっとあげて笑ったかと思うと、大悟が立ち上がり風香を抱きすくめる。それに驚いた風香だったが、次の瞬間には大悟の柔らかい唇が風香のそれをふさぐ。

「……んっ」

驚いて目を見開く。目の前の大悟も薄く目を開いたまま風香の顔を見つめていた。

それに驚いた風香の唇がゆるむ。大悟はその時を見逃さずに自身の舌を滑り込ませてきた。

恥ずかしさに耐えきれなくなった風香は、目をギュっと閉じて大悟のキスにされるがままだ。

「んぁ……ん」

口の中にリキュールとチョコの味が広がる。甘いキスはどんどん深くなっていく。

やがて唇が離れ、大悟の唇が濡れて光っているのを見て羞恥心が煽られた。

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