Taste of Love【完】
狭いソファの上でお互いの気持ちを確かめあった後、風香と大悟はブランケットにくるまっていた。
風香は背後から抱きしめてくる大悟の腕が心地よくて、思わずその腕に自らの腕を重ねた。
「ごめん、がっついて」
「悪いって思ってないですよね?」
クスクス笑いなら言う風香に、大悟が不満げな声を上げる。
「好きな女を抱いてなんで“悪い”なんて思わないといけないんだ」
「ほら、やっぱり思ってない」
なおも笑う風香につらて、大悟も笑う。揺れる体の振動が伝わって来て大悟の近くに再び戻れたことを風香は嬉しく思っていた。
「なぁ、お前後悔しないのか?三栖サンのこと」
大悟が気にするのも無理ないだろう。風香がトラウマになるほど好きだった人だ。
「しません。そのためにちゃんと初恋終わらせましたから。それにあんなロマンチックなレシピもらったら、私の浅見さんへの気持止められるわけないですから」
「なっ……俺は別に」
背後にいる大悟の動揺が風香にも伝わってきた。
「だって立て読みで“お前が好きだ”なんてストレートな告白されたら、せっかく忘れようとしてたのに、全部無駄になっちゃいましたよ」
振り向こうとする風香を「こっち見るな」と大悟が腕に力をいれて、顔を見れないようにする。